マレーシアのビーチリゾート、ランカウイ島で開催された
アイアンマン226kmを完走できて一安心。
世界中の40カ所ぐらいで開催されていて、1000人づつぐらいは参加してるので、
都合4万人程度、毎年フィニッシャーが生まれているので、珍しくもなんともないのですが、
自分が練習を通じて、大会に参加して、学んだ事や思った事を。
■変化は確実性を持って起こせる。
高校生の時は水泳部で、毎日トレーニング。
大学の時は水泳を教える側になりつつ、ライフセービングの免許も取ったし、
スキーの国際資格も取ったりしていたので、運動していたので
比較的体力には自信があったほうです。
しかし、大学卒業後、電通に入って以降は、業務過多。
要は社会人になってから約15年程度経つ40歳までは
運動をほぼしない生活。肩こりもあるし、腰も歪んでいたい。
そんな体をどう変化させていくのか?
●まずはトレーニングに耐えられる基礎作り
2011年に「トライアスロン大会に出る」と決めた時に
まず取り組んだのが「歩く」事。
基本動作ができなければすべてできない。
運動の基本は歩く事=体を捩る、捻ること。
最初の目標は30分。その後1時間に。
それと同時に、柔軟性の向上を目指し、ストレッチも開始。
関節の稼働域が拡がらないと、楽になっていかない。
次は「走る」事。最初は3kmから。
それでも息はゼーハーゼーハー、ヒーフーホーホー・・・。
トライアスロンはスイム、バイク、ランと続く訳ですが、
要は全てのベースとなる心肺機能を向上させないといけない。
ゆっくり走ったり、スピードをあげたりと、変化をつけつつ、
6km、8km、10kmと徐々に距離を伸ばす。
10kmぐらい走れるようになったのが、
本格的なトレーニング再開のサインだったと思いますが、
10km走ると1週間ぐらい筋肉痛がでるし、
踵の動きも悪いなり、体全体が辛かった。
なので、月に2〜3回ぐらいしか練習できませんでした。
それでも、少しずつ体は動くように。
●3種目の個別目標
2012年になり、11月のロタ大会に出るのを決める。
退路を断つ為に、社内外に「出る」事を宣言。
泳ぎは区民プールで、1回に1200mぐらい練習。泳げて週に1回程度。
高校の現役時代は毎日3500mぐらい泳いでいたので、比較できないぐらい少ない距離。
が、無理をすると背中が痛むので、50m×24本をキックとプルとドリル練、
1200〜1500mぐらいで抑えめに練習。
梅雨時にバイクとローラー台を購入して「漕ぐ」練習開始。
最初は30分も漕ぎ続ける事ができない。
体の動かし方自体が、初めての事だらけ。
しかもTTポジション(体を前に傾けて走るエアロポジション)を取ると
肩甲骨や腕が辛くなり、持たない。
ローラー台の負荷をかけずに1時間回せるようになったのは、
開始してから4ヶ月ぐらいたった大会直前の10月。
翌月は51.5kmの大会本番。心配だったな〜。
ランは、2週に1回、10km程度。
スイムもバイクも練習があったので、それでも楽ではなかった。
●1日3種目実施=トライアスリートに
実質「歩く」訓練から再開して1年半で迎えた2012年のロタ大会。
初めて同じ日に3種目行う経験。
初ウェットスーツ着泳、トライスーツでバイクに乗り、
外で走るとTTポジションが取れず、ランが走りきれなかった経験。
ゴールできた時の達成感は、今でも忘れる事が出来ません。
体の変化の視点から見ると、1年半掛かったという事です。
が、1日に3種目をこなし、51.5kmを3時間で完走できる体にはなったわけです。
●変化の継続
その後、継続的にトレーニングをしつつ、年に2回ぐらいの大会をこなす。
満足できた大会も、失敗した大会もありましたが、継続的にトレーニング。
体力的には一進一退な感じ。調子が良い時もあるが、悪い時も。
トレーニングをするだけではなく、会食を少し控え、酒量を落とし、
食事バランスもより気を使うようになったのはこの頃。
いつかはアイアンマンと、おぼろげなイメージを思い始めたのは、2014年かな?
パラオで開催された51.5kmのトライアスロン翌日に、
100kmバイクをそれなりのタイムで走りきれた時に、
「あ? もしかして僕もアイアンマン目指せるかも?」
●アイアンマンクリアの必要条件
「いつかはアイアンマン」という目標を立てた後は
必要条件をクリアする為に、個別目標を設定。
・スイム:短距離ではなく、長距離型の泳ぎに変更
・バイク:180kmのロングライド達成
・ラン:フルマラソンの完走
練習方針:最低でも練習は3種目を週に1回づつ
・スイム:早朝スイム練の定例化、長距離練の場所を確保
・バイク:効率的なスピンニング技術の獲得、ロングライドイベントへの参加
・ラン:月間走行距離40km以上、マラソン大会の参加
個別目標のクリアを行う為に、いろいろと探る。
・2015年 2月フルマラソン@東京。
約4時間で完走しましたが、実はランのトレーニングは月30kmぐらい。
まだラントレーニングをすると、体が辛かったので、
練習距離を伸ばす事ができない状態でした。
・2015年 5月ハーフアイアンマン@ダナン
バイク90kmのロングライド後の20kmラン。
ランは崩れてしまったものの、約6時間でフィニッシュ。
「これならフルのアイアンマンを完走できるかも」という手応え。
・2015年 11月ハーフアイアンマン@ロタ
・2016年 3月フルマラソン@横浜
・2016年 6月180kmバイク@ツールド宮古島
・2016年 9月〜週1回の早朝4kmスイム練
個別に立てた目標に基づき、練習を続け、クリアしていく。
大会を完走できてきたということは大方針に間違いはなく、
着実に身に付いて来ているという証し。
226kmにおよぶアイアンマンをクリアするにあたって、
残ったのは条件は「3種目連続を続けられるかどうか?」だけになる。
ここまで来ると、やってみないとわからない。
あとは、栄養補給戦略を立てて、着実に遂行するだけ。
もしかしたら体の準備ではなく、精神論だけなのかも。
●いざ挑戦
「挑戦」と言うと「とりあへずやってみる」という風に捉える人も多いかもしれません。
が、確実にクリアする為には、周到な準備が必要です。
2012年のロタを起点に考えれば約5年間。
その準備期間を入れると、約6年の期間を経て準備してきたことになります。
知人曰く「ホウシュはアイアンマン、楽勝だと思うよ」とか言われたりもしましたが、
無謀な挑戦をするつもりは毛頭ないし、制限時間ギリギリでゴールしたいとも思わない。
なので、ロングのアイアンマンは3年あればクリアできると言われる中、
少しゆっくりと準備をして、生活スタイルを変えてのぞみました。
一つ前のエントリーで書いた通り、結果的には、無事クリア。
フィニッシュを迎える事ができました。
戦略の策定、戦術の策定、実施遂行は無事完遂できたという事。
今では体を動かさないと、血流が滞る感じがし居心地が悪く
会食では2次会に行くと眠くなる自分が居て、
早朝に起きて練習しようかな?と思う自分が居ます。
突然変異は意識的に行えませんが、長期と短期の目標を立てて、地道に着実に進めば
「変化は確実性を持って起こせる」という事です。
■トライアスロンを行って、得たもの、学んだもの
この数年、トレーニングを継続して行く生活の中で学んだものは数多くあります。
・体(脳、神経、筋肉)を動かす事の重要性
・練習と休息の重要性
・平常心、脳を健全に保つ事
・変化は確実性を持って起こせるという事
・効率的な時間の使い方
・楽しむ事の重要性
・生活の朝型化
・自然の豊かさを強く意識
などなど。
とくに226kmのアイアンマンを体験して学んだのは
「脳にストレスを与えない方法=今を過ごす方法」かもしれません。
あまり言い過ぎると、宗教がかってきてしまうかもしれないので、
詳細は触れませんが「過去と未来を意識せず、今を意識しつづけ身体を意識する事」
と述べておきます。マインドフルネスというか、禅的思考というか、、、
目標ゴールタイムやランやバイクのスピードや残り距離=過去と未来を意識せず、
ランの時に足裏に痛みを感じても「足裏が痛いんだな」と認め、受け入れ=今を意識し、
一歩一歩こなす。そんな感じです。
■なぜ経営者が取り組む事が多いスポーツなのか?
トライアスロンは経営者が取り組む人が多いスポーツと言われますが、
アイアンマンを経験して、納得できた感じがします。
バイクの価格が高いとか理由の一つかもしれませんが、
ジャストアイデアや思いつきではなく、
戦略思考がないとクリアできないんだと思います。
トライアスロンのスタンダードと言われるオリンピックディスタンスは51.5km。
ミドルディスタンスのハーフアイアンマンは113km。
ここまでは、ガムシャラにやるだけで完走できるかもしれません。
が、226kmにおよぶロングディスタンスであるアイアンマンは、
事前の練習、当日の補給作戦、天候やなんかあった場合の回避策など
戦略に基づき、戦術策定をしないとフィニッシュラインに辿り着けない。
アイアンマンの参加者が10代、20代が少なく、
30代後半から40代が最大のボリュームゾーンというのも、
いろいろなビジネス経験をして、戦略思考を身につけているから
楽しめる理由なのかもしれません。
誰に強制されるわけでもなく、自らのぞんでやるわけで、
セルフモチベート、セルフマネージメントできるってのも
経営者に必要な能力。なので、合ってるんじゃないかな?
■これからも続けるか?
アイアンマン完走は今年の僕の人生目標の一つ。
完走時の感動もありましたが、まだ行けそうという感覚があります。
タイムを縮めたいというよりも、トレーニングする生活スタイルを続けるのにあたり
世界中で開催されている、綺麗な自然を楽しめる大会を目標に参加していく
というのが、素直な所かなと。
知り合いには、100kmマラソン、サハラマラソン、南極マラソン、
無酸素単独エベレスト登頂など、様々な目標を立てて、黙々と邁進している人も多い。
できるだけ生活スタイルの中にとけ込んだ形で
トライアスロンとの関わりを続けたいかなと。
会社のメンバー、家族、健康に生んでくれた親にも感謝。
ゴールできて良かった!